車やミニ四駆の速度を計算する方法1-タイヤの回転数から計算する

機械力学
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こんにちは。ジェノンです。
ジェノンの物理学と車ブログ、記念すべき本編の1回目は、車の速度の算出方法を書こうと思います。

この記事について

この記事で分かる事

  • タイヤの回転から、車の速度を計算する方法。
  • なぜ、ミニ四駆は大径タイヤの方が速度が高くなるのか。

こんな人に向けて書いています

  • 車の速度を計算する方法を知りたい。
  • 速いミニ四駆を作りたい!そのためには速度を知るところから始めてみよう。
  • ミニ四駆のストレート速度を上げたいけど、タイヤセッティングって関係ある?

内容の対象:中学生以上

皆さんも速い車は好きですよね。
え?安全運転が一番?それはそうですが…。
じゃあ速いミニ四駆は好きですよね?ね?好きですよね?
そうですよね。それでは、そんな車やミニ四駆の速さを表すもの、速度の計算方法を解説していきます。

分かりやすく、親しみがありますので、ミニ四駆を題材にお話ししますね。
基本は車も同じです。

最初に結論書いちゃいます

車やミニ四駆の速度は、タイヤの情報を使って、以下の計算で求められます。

速度=タイヤ外周長さ×タイヤの回転数
V=d×π×n

解説

タイヤが回転すると進む距離について

まずは、タイヤの回転とミニ四駆の運動、ここでは進む距離を理解しましょう。
これが後の速度を求めることに繋がります。

ところで、ミニ四駆が進むためにはどうすれば良いでしょうか。
それは、通常時ミニ四駆が唯一路面と接触している、タイヤを回す事です。
タイヤ、あるいはタイヤを取り付けているホイールを回す事で、ミニ四駆や車は進みます。
という事は、このタイヤの動きが分かれば、ミニ四駆の動き、今回求めたい速度が分かりそうですね。

今、ミニ四駆が装着しているタイヤの外径が、直径d(mm)とします。
なお、半径rで表すなら、d=2×rですよ。
※長さの単位は、一般的にはcmの方が馴染みあると思いますが、タミヤ公式ページでもmm表記なのと、機械設計・製図では全てmmなため、今回はmmでお願いします。

では、この直径dのタイヤが1回転すると、車はどのくらいの距離を進むでしょう。
それは、タイヤの外周の長さ分進みます。
タイヤの外周長さは、円の外周長さを求める事と同じです。
外周L(mm)=直径d(mm)×円周率π=2×半径r(mm)×円周率π
となります。
よって進む距離Xは、
X(mm)=L(mm)=d(mm)×πです。
次に、タイヤが2回転した場合はどうでしょう。
この場合は先程の1回転の2倍進みそうです。
つまり、この場合の進む距離は、
X(mm)=L(mm)×2=d(mm)×π×2
となります。

こんな感じで、タイヤがN回転した時の進む距離は、次のように表すことができます。
X(mm)=L(mm/回転)×N(回転)=d(mm)×π×N(回転)
【注意】回転した数は、物理量ではないので、実際には単位がありません。
なので長さの単位mmに回転した数を掛け算しても、結果の単位はmmです。
もしそれに納得できなかったとしたら、次のように考えてください。
タイヤ外周の長さLは「タイヤ1回転あたりの進む距離」なので、わざと上記に示したように単位が(mm/回転)と表記することができます。ここにN(回転)を掛け算するので、結果的に(回転)という単位がなくなります。

これで、タイヤが回転した場合どれだけ進むかが分かりました。
しかし、今求めたのはあくまで「距離」です。
ここから、「速度」を求める解説をします。

タイヤの回転から速度を計算する

先ほど求めたのは、タイヤがN回転すると、どれだけ進むか、でした。
これは単純に移動距離です。
それでは「速度」を求めるにはどうすれば良いでしょう。
それを考えるためには、どうすれば速く走る事ができるかを考えてみてください。
これは皆さん想像できるかと思いますが、タイヤを速く回せば、速く走れると思いませんか?
つまり、「タイヤがどれだけ速く回るか」の要素を加えれば、速度が分かりそうです。
もう少しです。頑張りましょう。

タイヤがどれだけ速く回っているか。
それを表すのが、「1秒あたり何回転しているか」を表す、回転数nです。
1秒間に1回転するなら、
回転数n=1(回転/秒)です。
1秒あたり10回転しているなら、
回転数n=10(回転/秒)です。
ちなみに、もし8回転するのに2秒かかる場合は、
回転数n(回転/秒)=回転した数N(回転)/時間t(秒)
により、
回転数n=8/2=4(回転/秒)
となりますので、念のため。

ここで、先程のタイヤが回転した数で距離を求める式において、タイヤが回転した数Nを、タイヤの回転数nに置き換えてみましょう。
そうすると、「1秒あたりにタイヤがn回転し、タイヤが回転した分L(mm)進む」となります。
この言葉をまとめると、「1秒あたりに進む距離」となり、これはまさに速度を示します。
速度V(mm/秒)=タイヤ直径d(mm)×π×タイヤ回転数n(回転/秒)
【注意】(回転)という単位が消える理由は、進む距離を求める部分で解説しています。

以上、ミニ四駆や車の速度を求める計算方法でした。
先ほどの式を見て、ピンと来た方もいると思いますが、速度を求めるにはタイヤの回転数だけでなく、タイヤ直径も関わってきます。
タイヤ直径が掛け算されていますので、タイヤ直径が大きい程、速度が速くなる事を示しています。
これはつまり、「小径タイヤよりも大径タイヤの方が速度が速くなる」という、ミニ四駆をやっている方なら多くの方がご存知である事を、数式で示している事になります。やりましたね!

実際の値での計算

これまで分かった計算を、実際のミニ四駆の値で計算してみましょう。
ミニ四駆の小径タイヤは、直径dが約24mmです。
タイヤが1秒間に45回転(=n)する場合、このミニ四駆の速度は
V(mm/s)=d×π×n
=24×π×45
=3391.2(mm/s)=3.3912(m/s)
※今回は、π=3.14としました。
つまり、このミニ四駆は1秒間に3391.2mm=3.3912m進むことになります。
これを車の速度と同じ単位、km/hで表そうとすると、m/sの値に3600/1000をかけるので、約12.2(km/h)となります。結構速いですね。

では、もし同じミニ四駆で大径タイヤに変えた場合はどうなるでしょうか。
大径タイヤの直径dは、約31mmです。
先程のdを31mmにすれば良いので、このミニ四駆の速度は
V(mm/s)=d×π×n
=31×π×45
=4380.3(mm/s)=4.3803(m/s)
となり、小径タイヤよりも約1000(mm/s)も速くなりました。
つまり、1秒ごとに1mも差をつけられるということになります。
これで小径タイヤのミニ四駆を、ストレートでぶっちぎれますね!

というわけで、タイヤの回転から速度を計算する方法でした。

さて、最後の実際の値を使っての説明を読んで、「タイヤが1秒に45回転するというのはどうやって出したのか」と疑問に思う方もいるかと思います。
鋭いですね。
そういう疑問を持つことはとても大切だと思います。
その方法は、次回解説しようと思います。

おわりに

もう一度結論
車やミニ四駆の速度は、タイヤの情報を使って、以下の計算で求められます。

速度=タイヤ外周長さ×タイヤの回転数
V=d×π×n

今回はこれで終わりです。
ありがとうございます。
次回もお楽しみに。

次回の記事ができました。

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